和歌山の静けさと、大阪・関西万博の旅日記
- Marc

- 6月12日
- 読了時間: 14分
はじめに:憧れの場所と、話題のイベントへ
2025年の春、日本では世界的な一大イベント、「大阪・関西万博」が開催される。
多くの国が参加し、未来の暮らしや技術、そして文化を体験できるこの万博は、世界中の注目を集めている。
そんなビッグイベントを前に、ふと思った。
「そういえば、しばらく大阪に行ってなかったな…」
久しぶりに大阪のあのエネルギーを感じたい。
そしてもう一つ、ずっと心の中にあった願いがある。
高野山に行ってみたい。
忙しい毎日から少し離れて、静けさと自然に包まれたい。
そんな思いが重なって、今回は「和歌山」と「大阪」を巡る2日間の旅を計画した。
静と動、静寂と賑わい。まったく異なる魅力を持つ2つの場所を、自分の足でじっくり味わってきた。
マップが表示されない場合は、ページを再読み込みしてください。
1日目:心を整える、和歌山・高野山の一日
大阪へ到着 和歌山の静けさと、大阪・関西万博の旅日記
旅の初日は、まだ空が暗いうちに大阪へ到着した。
前回大阪を訪れたのは、もう4年前のこと。久しぶりの再会に、胸が少し高鳴っていた。
改札を抜けて外に出ると、街はまだ眠っていて、人の気配はほとんどない。
いつもはにぎやかな道頓堀も、まるで時間が止まったかのように静まり返っていた。

そこから向かったのは、南の方にある住吉大社。
太鼓橋を渡って境内に入ると、清らかな空気とともに、心の中がすーっと静まっていくのを感じた。
まだ朝早かったこともあり、参拝客は少なく、鳥の声だけが響く。
旅の始まりに、こうして静かな時間を持てたことが、とても嬉しかった。
その後は電車を乗り継ぎ、堺市へ向かった。

ここでは市内に点在するいくつかの古墳群(世界遺産)や、静かな墓地エリアを訪れた。
歴史がしっかりと残るこの街では、現代と過去がやさしく交差していて、歩いているだけで時間の感覚がゆるやかになる。
高野山
堺を出てから、南海電鉄の列車に乗り、高野山を目指す。
ここからが、本当の意味での「旅の始まり」だった気がする。
最初は都市の風景が窓の外に広がっていたけれど、列車が進むにつれて、だんだんと建物が少なくなり、代わりに木々の緑が濃くなっていく。

途中から山間部に入り、列車のスピードもゆっくりと落ちていく。カーブの多い道を、ゴトンゴトンと音を立てながら登っていく時間は、日常を少しずつ手放していくような、不思議な感覚だった。
標高が上がるにつれ、気温も少しずつ下がり、空気が澄んでくる。
あたり一面に広がる木々の香りと静けさが、まるで「ようこそ」と迎えてくれているようだった。
そして到着したのが、日本仏教の聖地・高野山。
9世紀に弘法大師・空海によって開かれたこの地は、今もなお多くの僧侶たちが修行を続ける場所であり、訪れる人々に深い静けさと安心感を与えてくれる。
高野山には、117以上の寺院があり、その多くが宿坊として一般客を受け入れている。

境内を歩くと、木造の本堂や庭園、苔むした石灯籠が静かにたたずんでおり、一歩一歩が心を洗い流すような感覚だった。
特に印象的だったのが、奥の院。
ここは20万基以上の墓石や供養塔が並ぶ、日本最大級の霊場であり、歴史上の偉人から一般の人々まで、多くの魂がこの地に眠っている。
参道を歩いていると、古い杉の木々に囲まれ、時折吹き抜ける風と共に、まるでこの世とあの世の間を歩いているような不思議な感覚に包まれた。
この場所では、静かに歩くことが自然と身につく。誰かと話す声も自然と小さくなる。

旅の中で「何かを感じる場所」というのは、そう多くない。
でも、高野山には確かに、時を越えた祈りと、人々の想いが重なる深みがあった!
和歌山市内の散策
高野山から和歌山市内へと移動すると、そこにはまた違った魅力が広がっていた。
観光地としてはあまり目立たないかもしれないが、この街には「暮らしの気配」と「歴史の香り」が同時に息づいている。
まず訪れたのは、和歌山城。

お城の中にも入ることができ、上からは市内が一望できた。春には桜、秋には紅葉が楽しめる場所としても有名だが、季節を問わず訪れる価値があると思った。
その後、和歌浦へ。
かつて多くの和歌が詠まれたこの景勝地は、今もなお穏やかな海と歴史的な風景が広がっている。

夕暮れ時に海辺を歩いていると、海と空の境界がゆっくりと溶けていくようで、時間が止まったかのような感覚になった。
また、町の雰囲気もどこか温かい。
観光地化されすぎていないからこそ、地元の人々の生活がそのまま感じられる。
道端で声をかけてくれるおばあちゃん、昔ながらの商店、静かな神社…。
「日本の原風景って、こういう場所にあるのかもしれない」と思わせてくれる体験だった。
もし車があるなら:和歌山の穴場スポットもおすすめ
車をレンタルできる方には、和歌山の自然をもっと深く感じられるスポット巡りをおすすめしたい。列車やバスもあるが、やはり車があれば自由度が大きく広がる。
たとえば…
白崎海岸
「日本のエーゲ海」とも呼ばれる、真っ白な石灰岩とエメラルドグリーンの海が織りなす絶景スポット。

車で海岸線をドライブしていると、視界が一気に開け、その美しさに言葉を失う。風の音と波のリズムだけが響くその空間は、まさに非日常。
那智の滝と熊野古道
時間がある方には、少し足を延ばして紀伊半島南部の那智勝浦方面へ行くのもおすすめ。
列車で海岸線をゆっくりと下ると、青い海と漁村の風景が車窓に広がり、それだけでも贅沢な時間。
那智の滝は日本三名瀑のひとつで、神秘的な力を感じる荘厳な滝。滝の近くには熊野那智大社もあり、信仰と自然が重なる、まさに「日本の心」に触れる場所だ。
海辺の宿で夕暮れ/朝日を
できれば、海沿いのローカル宿に一泊して、夕暮れ/朝日をゆっくり眺めてほしい。
夜は星空、朝は太陽が水平線から昇る瞬間。

都会の喧騒から離れ、ただ海の音と自分の呼吸だけに耳を傾ける時間は、旅の中でも特別なものになるはずだ。
和歌山の味覚を堪能するなら「黒潮市場」
旅の締めくくりに、美味しい海の幸を味わいたい方には、和歌山マリーナシティ内にある「黒潮市場」がぴったり。

ここでは、新鮮な魚介類が並び、活気ある市場の雰囲気そのものが楽しい。中でも人気なのが、マグロの解体ショー。職人の手さばきに見惚れながら、その場で切りたてのマグロを味わえる贅沢は、なかなか味わえない体験だ。
地元の名物料理をその場で食べるも良し、お土産として海産物を選ぶも良し。旅の思い出と一緒に「味覚」も持ち帰ることができる。
冒険好きな方には:無人島「友ヶ島」へ
もっとアクティブに、冒険心を満たしたい方には、友ヶ島(ともがしま)への旅もおすすめ。
この島は、旧日本軍の要塞跡が今も残る無人島で、まるで映画のワンシーンのような風景が広がっている。特に霧がかかった日などは、どこか異世界に迷い込んだような感覚になる。フェリーでアクセス可能で、ハイキングコースや歴史的遺構巡りも楽しめる。

静寂と自然、そして少しのスリルを求める方には、きっと忘れられない体験になるはずだ。
大阪の夜
和歌山での一日を満喫し、夜遅くに大阪・なんば駅に到着。長い旅路を終えて、駅に降り立った瞬間、心地よい疲れと共に大阪の街のエネルギーが体に染み渡る。
新世界まで歩きながら、道の両側に広がる昭和の雰囲気に包まれていく。
「やっぱり大阪はこうでなきゃ!」と感じながら、屋台から漂ってくる香りに誘われて足を止める。

串カツに加えて、やっぱり外せないのはたこ焼き。カリッとした外側にトロリとした中身、温かい一口を頬張りながら、疲れが一気に吹き飛んでいった。
その後、道頓堀に向かって歩き出すと、いつも賑わうこの場所にもすでに人々でいっぱい。
観光客、地元の人々、みんなが集まる中で、活気に包まれていく。

グリコの看板の前で立ち止まり、ここで過ごす時間をしっかりと感じる。夜の道頓堀はどこか違った魅力があり、昼間の賑わいとまた一味違う特別な空気が広がっていた。
その後、心斎橋筋に向かってさらに歩く。

どこか懐かしく、でも新しい発見があって、次々とお店を眺めながら歩くのが楽しかった。
最後には、ホテル野路に戻り、少しだけリラックスしてから、一日の疲れに身をゆだねる。
あっという間に眠りに落ち、ぐっすりと寝て、次の冒険に備えた。
2日目:静けさから熱狂へ—大阪の一日
朝の大阪は、前日の旅の余韻を包み込むように静かだった。
ホテルを出て、まだ少し眠そうな街をゆっくり歩き出す。昨日の和歌山の自然とはまた違う、都会ならではの穏やかさが心地よい。
朝の祈り—大阪天満宮
まず向かったのは「大阪天満宮」。
学問の神様、菅原道真公が祀られているこの神社は、受験生だけでなく、心を整えたい人にとっても大切な場所だ。

静まり返った境内で手を合わせ、深呼吸。都会の真ん中にあるとは思えないほど、空気が澄んでいた。
中之島ローズガーデンで一息
参拝のあとは、中之島の川沿いへ。
「中之島ローズガーデン」では、色とりどりのバラが咲き誇っていて、朝の光に照らされた花々がまるで夢のようだった。

旅の中でこうした“何もしない贅沢”が、時に一番心を潤してくれる。
夢洲駅での行列
その後、地下鉄中央線で夢洲駅へ向かい、万博会場に到着!
しかし、駅を出た瞬間、目の前には長蛇の列が…。

入場ゲートに入るための行列がすでにできていて、思わずため息が出た。
ここでの教訓:列の進み具合を見極めて、柔軟に列を変える勇気を持つこと!
僕は意地で最初の列に並び続けたけれど、他の列の方が明らかに早く進んでいた。
次回はプライドを捨てて、効率を優先しようと思う(笑)。
万博2025(大阪・関西万博)
ついにやってきた、「大阪・関西万博」。
未来と出会う場所、世界と繋がる舞台だ。
ゲートをくぐった瞬間、目の前に広がる光景に圧倒された。

家族連れ、学生、観光客、ボランティア。
人の熱気であふれていて、それぞれがワクワクと未来に向かって歩いているのが伝わってくる。
木造の大アーチと、絶景の展望
この万博のシンボルでもある、世界最大級の木造アーチ。
そのスケールは想像以上で、近づけば近づくほど、その構造美に引き込まれていく。
実際にアーチの上を歩くことができ、そこからは大阪の街、神戸、四国の島々、そして和歌山の山並みまでもが一望できた。

途中、アーチの上の芝生に寝転んで、少し昼寝までしてしまった。
子どもみたいだけど、あれほど気持ちいい昼寝は久しぶり。
世界を巡る旅—多彩なパビリオン体験
万博会場に足を踏み入れると、そこはまるで世界中を一度に旅しているかのような感覚に包まれた。
各国のパビリオンはそれぞれ独自のテーマとデザインで来場者を迎え入れ、五感を刺激する体験が待っていた。
まずは自分のルーツでもある「フランス館」へ。
フランスらしいエレガンスとテクノロジーが融合した空間で、懐かしさと誇らしさが入り混じる。

次に訪れたのは、北欧パビリオン「Nordic Circle」。
デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの5カ国が共同で出展しており、17メートルの高さを誇る木造建築が特徴的だった。
中には北欧の自然とデザインが融合した展示が広がり、屋上にはレストランとガーデンも併設されていた。
他にも、ポルトガル館では海洋をテーマにした展示が印象的で、再生素材を用いた建築が波のような動きを表現していた。
アイルランド館では、ケルト文化と日本文化の融合を感じさせる展示があり、特に入口に設置された6メートルの彫刻「Magnus Rinn」が目を引いた。
オランダ館では、再生可能エネルギーと水の流れをテーマにした展示があり、中央の白い球体が太陽を象徴していた。
スイス館は、軽量な膜素材で覆われた球体構造が特徴で、内部にはスイスの革新的な技術が紹介されていた。
これらのパビリオンを巡る中で感じたのは、それぞれの国が持つ独自の文化や価値観を直接体験できることの喜びだった。

展示を見るだけでなく、現地のスタッフや他の来場者と会話を交わすことで、世界との繋がりを実感することができた。
もちろん、すべてのパビリオンを訪れることはできなかったが、一日中いても足りないほどの見どころが詰まっていた。
万博は単なる展示会ではなく、世界中の人々と心を通わせる場なのだと改めて感じた。
それぞれの文化やエネルギーがブースの中に凝縮されていて、五感がずっと刺激されっぱなしだった。
アトラクションと人々の熱気
会場内には、未来の技術を体験できるアトラクションが多数。

ロボット技術やAI、まさに未来がここにあると感じさせられる。
夕暮れの大阪、心に刻まれた風景
博会場を後にして、まだ少し時間があったので、大阪の街に戻って鶴橋、コリアンタウンへ立ち寄った。 こういう、ちょっとアンダーグラウンドな雰囲気のある場所、僕はすごく好きだ。 観光客でごった返すようなエリアじゃなくて、地元の人たちが暮らしてる場所、生活してる場所。

ふとした会話から仲良くなった人たちに焼肉とお酒をごちそうになったりして、
やっぱり思った ― 大阪の人たちは温かい。
東京に住んでると、こういう「人との距離感の近さ」って、なかなか味わえない。
この街は、心のバリアを溶かしてくれる。
大阪城 — 10年ぶりの再会、衝撃の美しさ
次に向かったのは大阪城。
実は来るの、10年以上ぶりだった。ほとんど記憶もなかったけど…
本当に圧巻だった。

思いつきで来たのに、気づけば天守閣まで登って、そこから見下ろす石垣と広い公園、そして夕日に染まる景色に、もう完全にやられた。
「来てよかった」って、心から思えた瞬間だった。
環状線で、懐かしい景色をぐるりと再訪
少し時間があったので、大阪環状線に乗って、懐かしい景色を再び感じる小さな旅。
天王寺、新世界、難波… 以前訪れた場所を車窓越しに眺めながら、
「この街に、こんなに思い入れがあったんだな」と気づいた。
梅田 — 静かに街と別れを告げる時間
最後は梅田周辺へ。
夜行バスに乗るまでの残り2時間、
音楽を聴きながら、雨の音が重なって、濡れた高層ビル群をぼーっと眺める。
この何気ない時間が、旅のラストを静かに、でも深く心に刻んでくれた。

イヤホンから流れる音楽と共に、この旅のことを振り返っていた。
万博で見た世界、鶴橋で感じた人の温かさ、城のスケール、そして再会した街の空気。
人の流れも落ち着いた夕方、
傘をさす人々と光る歩道、行き交う電車の音、
そのすべてが混ざり合って、まるで映画のワンシーンのようだった!
「また必ず帰ってこよう」
そんな気持ちを胸に、ゆっくりとバスターミナルへ向かった。
総まとめ — 祈りと熱気バイブスに包まれた二日間
この旅は、内と外、静と動、祈りと笑いが交差する時間だった。
一日目は和歌山・高野山へ。標高800メートルの霊山に足を踏み入れた瞬間、空気が変わったのを肌で感じた。
苔むす参道、静寂の中に佇む奥の院、僧侶の読経が響く伽藍の空間。そこで過ごした数時間は、時間そのものが止まったような感覚だった。
旅というより、心の深呼吸。日々の喧騒をそっと手放して、ただ自分と向き合うためだけの贅沢な時間だった。
そして二日目は、一転して大阪へ。万博記念公園で世界中の文化に出会い、その多様さと人の温かさに心を動かされ、夜はネオンが揺れる新世界で、大阪らしさ全開の時間を楽しんだ。大阪が好きで、前に大阪だけをテーマにした記事も書いた。
食、笑い、人、バイブス。エネルギーの塊みたいな街で、自然と自分も解放されていった。
一日は「静けさ」で始まり、もう一日は「熱気」で終わった。
この対比があったからこそ、どちらの良さもより深く味わえた気がする。
和歌山で整え、大阪でほどける。
そんな、心の緩急をくれる二日間だった。
和歌山の静けさと、大阪・関西万博の旅日記 - Marc



















コメント