中国旅でもっとも心に残った都市、南京
- Marc
- 5月25日
- 読了時間: 9分
更新日:5月26日
はじめに 中国旅でもっとも心に残った都市、南京
以前、「ずっと行きたかった中国へ:心を動かした旅」という2部構成の記事を書いた:
あの旅の中で多くの街を巡ったけれど、心に最も強く残ったのがこの「南京」だった。
南京は、歴史の教科書にもよく出てくる有名な古都。
でも実際に行くまでは、ここまで発展しているとは思っていなかった。勝手に「京都」みたいな雰囲気を想像していたけれど、駅を降りた瞬間、それがいい意味で裏切られる。

かつての首都、歴史の重みを感じさせながらも、未来的で、どこか軽やか。伝統とテクノロジー、静けさと躍動感、そのすべてが自然に溶け合っている場所。
3日間の旅を通して、まるでいくつもの顔を持つ都市と出会ったような気分だった。
マップが表示されない場合は、ページを再読み込みしてください。
1日目:南京に到着 — 最初のインパクトは「未来都市」
南京南駅の前に広がるのは、曲線的で個性的なデザインの超高層ビル群。光沢のある色彩、近未来的な形、そしてその圧倒的なスケール感。
まさに“衝撃”。この都市には、第一印象から圧倒される何かがあった。
中国で好きなのは、この“予想を裏切る感じ”。

「これは絶対、楽しい旅になるな」って、到着してすぐに確信した。
「すぐにでも歩いてみたい!」と思い、一時間ほど周辺を散策すると、その一帯がどれだけ開発されているかに驚いた。
Googleマップで見ていたときには空白に見えた場所が、現地では最先端の都市空間として広がっていたのだ。

ストリートフードのマーケットもあって、にぎやかで、夜でも安心して歩ける雰囲気がある。新しくて、現代的で、歩くだけでも楽しいエリアだった。
ホテルに到着
夜21時ごろ、荷物を置いてふらっと外に出た。特に目的はなく、ただ空気を吸って、歩きたくて。

するとそこには、思っていた以上に活気あるナイトライフが広がっていた。ストリートフードの香り、ライトアップされた建物、人々の笑い声。
驚いたのは、街中にモスクや教会が普通にあること。まさか南京にこんなに宗教的な多様性があるとは…まったく知らなかった。

歴史の重み、文化の豊かさ、それを静かに語りかけてくるような空気があった。
「明日はどんな景色が待ってるんだろう」
そんな期待に心を弾ませながら、南京の旅は始まった。
2日目|歴史と幻想の南京 — 朝から夜までの完璧な一日
朝|青空のもと、歴史と自然に包まれる
紫金山のふもとへ
少し早めに宿を出て、目指すは中山陵。中国近代の父・孫文が眠るこの場所は、南京の象徴的な存在。
紫金山の緑に包まれながら登っていくと、空気が澄んでいて気持ちが良い。自然に囲まれた道を歩くだけでも、もう癒される。
中山陵
9時頃、中山陵に到着。
階段を登りながら徐々に視界が開けていく。上に着くと、重厚な青い屋根と白い石造りの廟が堂々と佇んでいて、心が引き締まる。

静寂の中、人々がそれぞれの思いで立ち止まり、手を合わせていた。
振り返ると、街が一望できて、そのスケールに思わず息を呑む。

「ここに来られてよかった」と思える、まさに“始まりの場所”。
南京植物園
そのまま山を少し降りて、隣接する南京植物園へ。
ここが予想以上にすごかった。広さも植物の多様性も圧巻。日本風の庭園、竹林、熱帯植物温室など、まるで自然の博物館。

ベンチで読書をしている人、子どもたちが遊ぶ姿、みんなそれぞれの時間を過ごしていて、まさに“市民の憩いの場”。
午後|文化と歴史に触れる時間
南京博物院(Nanjing Museum)
午後最初に訪れたのは、南京博物院。中国でも最大級の博物館の一つで、建築自体も圧倒される美しさ。
館内は近代的に整備されており、展示もジャンルごとに分かれていてとても見やすい。
とくに印象的だったのは、明代や清代の陶磁器や装飾品。ガラス越しに見るだけで、その時代の職人技が伝わってくる。

静かな空間に歴史がずっしり詰まっていて、時間が経つのを忘れて見入ってしまった。
明故宮(Ming Gugong)
そこから歩いてすぐの場所にあるのが、明故宮。かつて明王朝の皇帝が住んでいた宮殿の跡地で、現在は公園として整備されている。

敷地の中には大きな門や柱の基礎が残っていて、そのスケール感に驚かされる。歴史の“痕跡”が、草木の中に自然と溶け込んでいた。
観光客よりも地元の人の散歩コースになっているようで、落ち着いた雰囲気が漂う。
鶏鳴寺(Jiming Temple)と達磨宮
その後訪れたのが、南京で最も有名な仏教寺院の一つ、鶏鳴寺(Jiming Temple)。

黄色い壁が印象的で、門をくぐった瞬間、街の喧騒が嘘のように静まる。鐘の音が響き、線香の香りが漂って、まさに心が洗われる空間。
上からは南京城壁や遠くの湖が見渡せて、ビュースポットとしてもおすすめ。
隣にある達磨宮(Bodhidharma Palace)も美しい。

解放門から南京城壁を歩く
すぐそばの南京城壁(Jiefangmen Gate)にも足を運ぶ。中国最大級の城壁の一部で、ここは保存状態も良く、上に登って歩くことができる

実際に歩いてみると、その高さに圧倒される。振り返れば遠くに見えるビル群、足元には歴史の石積み。
ここは、過去と現在が共存していることを肌で感じられる場所だった。
そのあとは、少し足を伸ばして玄武湖公園(Xuanwuhu Park)へ向かう。
湖と緑に囲まれた広大な自然公園で、リ鳥の鳴き声に耳を澄ませる。

都市の中心にありながら散策するだけでも気分が落ち着き、時間を忘れてしまうような場所だった。
夕方〜夜|光と幻想の南京
磁器塔(Pagoda of Porcelain)での夕暮れ
午後のハイライトは、磁器塔(Porcelain Pagoda of Nanjing)。かつて世界七不思議とも呼ばれた仏塔で、現在は再建されてライトアップと展示を兼ねた観光施設となっている。
まずは展望エリアへ。エレベーターで上に上がると、そこから見える南京の夕暮れはまさに絶景。

太陽が沈むにつれて、空の色がオレンジから紫へと移り変わる。その中で静かに佇む塔の姿は、まさに“神秘”。

そして18時すぎ、街のあちこちで一斉にライトが灯り始めた。川沿いの建物も塔も、まるで宝石のように輝く。

昼の顔と夜の顔、南京はまるで別の都市のようだった。

中華門(Gate of China)と老門東へ
夜の散歩は、中華門(Gate of China)からスタート。大きな門をくぐると、歴史の重みを感じる道が続いている。 そのまま川沿いを歩き、たどり着くのは老門東(Laomendong)という古い町並みを再現した観光エリア。

ここがまた幻想的だった。観光客で賑わいながらも、どこか懐かしさのある雰囲気。
そして広場には、光のショーが!
紙でできたような巨大なオブジェがライトアップされていて、龍や動物たちが鮮やかに輝いていた。
幻想的な光と色の中で、まるで夢の中を歩いているかのよう。
夜食タイムと静かな満足感
散歩のあとは、近くの屋台通りで夜食タイム。勢いで2種類の麺料理を注文してしまい、食べきれなかったけど…味は大満足。

ホテルに戻る頃には、足も疲れていたけれど、心は満たされていた。
「南京、やっぱりすごい」。
そう思いながら、ぐっすり眠った。
三日目:歴史の記憶と、現代の暮らしに触れる日
朝一番で朝天宮へ
この日は早起きして、まずは朝天宮(Chaotian Palace Scenic Spot)を訪れた。
かつての明代の官庁であり、今では博物館として公開されているこの場所は、歴史的建築と庭園が調和する静かな空間。

赤や金の色彩が映える建物の中を歩きながら、時の重みを感じる。
石畳を踏むたびに、かつてこの地を歩いた人々の気配を想像してしまう。
朝の澄んだ空気と相まって、神聖さすら感じた。
南京大虐殺記念館
その後は、南京の歴史を語る上で避けて通れない南京大虐殺記念館へ。

1937年の悲劇を今に伝えるこの施設では、写真や証言、遺品などが静かに展示されている。
展示室を進むごとに胸が締めつけられるような思いが込み上げてきて、思わず足を止める場面もあった。
外の慰霊碑エリアは静かで、風の音すら重く感じられた。
南京という街が歩んできた過去を、ただ観光地としてではなく、「記憶」として心に刻む時間だった。
地元の暮らしを感じる散策
記念館を後にして、午後は少しリラックスした気持ちで南京のローカルな一面を探すことに。
中心部から少し離れた場所にある石頭城遺跡公園(Stone City Ruins Park)へと向かう。
ここは古代の城壁跡が残る公園で、地元の人たちがピクニックをしたり、昼寝をしたりしている穏やかな場所だった。

周りでは子どもたちの笑い声や犬の鳴き声が聞こえてきて、「旅人」から一瞬だけ「地元の人」になったような感覚だった。
南京テレビ塔へ
休憩のあとは、紫金山のふもとにある南京テレビ塔(Zijin Tower / Nanjing TV Tower)へ向かう。

少しローカルな雰囲気が漂うエリアにあり、観光地の喧騒から離れて静かに夕方を迎えられる。塔の周囲には広場やちょっとした売店もあり、地元の人たちがゆったりと時間を過ごしていた。
旅の締めくくりに市内散歩とショッピング
最後は、中心部に戻ってGreen Land Center周辺を軽く散策。
近代的なビルが立ち並ぶこのエリアでは、カフェや雑貨屋、モダンなショッピングセンターが並び、どこを見ても洗練された雰囲気。

軽くショッピングをして、お土産を購入。気がつけば、もう列車の時間が迫っていた。
17時ごろ、南京駅へと向かい、この3日間の旅に静かに幕を下ろした。
街の鼓動が耳に残る中、「また必ず戻ってきたい」と心から思った。
結論
南京について出発する前、多くの先入観を持っていました。歴史的な価値が高い街だということは知っていましたが、実際に行ってみると、そこには想像以上に多くの魅力が詰まっていることに気づきました。
南京は歴史的な遺産だけでなく、自然の美しさ、素晴らしい食べ物、そして親しみやすい人々が溢れた都市です。

3日間では一部しか見ることができませんでしたが、それでも多くの発見がありました。南京は本当に訪れる価値があり、何日でも滞在できるような場所です。
歴史的な名所や大きな博物館はもちろん、自然に囲まれた公園や湖、さらに地元の市場や屋台で食べる美味しい料理も、南京の魅力をさらに引き立ててくれます。そして、何よりも地元の人々がとても優しくて温かい。そのおかげで、南京での時間がとても特別なものになりました。
また、南京は公共交通機関がちょっとユニークです。行った町の中で唯一、地下鉄のチケットを「トークン」と呼ばれる小さなコインのようなもので購入することができる街でした。
この昔ながらのシステムが、どこかノスタルジックで可愛らしく、南京の魅力の一部だと思います。
南京は、歴史と現代が調和した素晴らしい街で、ぜひ訪れてみるべき場所です。街のあちこちで感じられる活気や歴史の重みが、あなたをきっと惹きつけることでしょう。
中国旅でもっとも心に残った都市、南京 - Marc
Comments