心のメモ#3、広げたあとに深める

心のメモ#3、広げたあとに深める:日本に来て、もう2年になる
2年前、日本に来た時の僕は、とにかく自分の世界を広げたかった。
フランスにいた頃の僕は、どちらかというと控えめで、慎重で、一つのことに集中するタイプだった。だからこそ、日本では今までやらなかったことをやってみたかった。知らない場所に行く。知らない人と会う。怖いことにも挑戦する。日本語で働く。
そうやって2年間過ごしてきた。
そして今、少しずつ次のフェーズに入っている気がする。
① 東京にいると、ずっと何かがある
最近、東京にいると少し疲れる。
東京が特別うるさいという話ではない。外に出れば、常に何かが目に入る。
建物、ネオン、コンビニ、飲食店、車、人、電車。夜になっても、終電を待つ人がいる。街はまだ動いている。
便利だし、楽しい。
でも、何もない時間が少ない。
何かをしたければ、すぐできる。どこかに行きたければ、すぐ行ける。誰かに会いたければ、会える。暇になれば、コンビニに行けばいいし、スマホを開けばいくらでも時間を潰せる。気づかないうちに、ずっと外から何かが入ってきている。
それを強く感じたのが、秋田に10日ほどいた時だった。秋田では、逆に何もできなかった。だから、一日にやることも自然と2つか3つくらいになる。
本を読む。
自転車に乗る。
個人的に書いていた記事を終わらせる。
それくらい。
もっと遊ぼうと思っても、そもそも周りに何もない。誰かに会おうと思っても、すぐ会えるわけでもない。
最初は「暇だな」と思う。でも、そのおかげで一つのことに集中できた。よく眠れたし、周りのものもちゃんと感じられた。夜になれば、人間だけじゃなくて、木も、動物も、周りの自然も全部眠っているような感覚がある。
東京では、夜になっても街が起きている。
その違いが、思っていた以上に大きかった。
フランスにいた頃も、似たような環境だった。
田舎だったから、家の周りに人も、建物も、エンタメもほとんどなかった。
だから、自然と目の前のことに集中していた。
今思えば、何もなかったことが、集中するための環境になっていたんだと思う。

② 「やる」から「深める」へ
この2年間、日本に来てからいろんなことを試した。
でも最近は、新しいことをどんどん増やすより、今までやってきたことをもう一段深くしたくなっている。
例えば:
今まではイベントに参加することが多かった。これからは、自分でイベントを企画してみたい。
いろんな人と出会ってきた。これからは、ただ新しい人に会うのではなく、今まで出会った人たちを繋げる側にもなりたい。
日本語も、ただ勉強するだけじゃなくて、日本語でちゃんと話したい。スピーチもしてみたい。
経験を増やすというより、経験を使う段階に入りたい。
だから、これからは人と会う回数も少し減らそうと思っている。人に会いたくないわけではない。ただ、毎週新しい人と会うことより、すでに知っている人との関係を深めるほうが、今は面白い。
お金の使い方も変えたい。外に出て、飲んで、遊んで、新しい経験を買う。それも楽しい。でも、そのお金を少しずつ貯めて、いつか家を買うために使いたい。
バドミントンも、もう一度ちゃんとやりたい。たまに遊ぶのではなく、週5回くらい練習して、本気で向き合ってみたい。
ブログも同じ。ただ記事を書くのではなく、自分にしかできないものとして、もっと育てたい。
そう考えると、やりたいことがなくなったわけではない。むしろ逆だ。やりたいことはある。ただ、数を増やすより、一つ一つに使う時間を増やしたい。
今は、そういう気分だ。

③ たぶん、これも一つのサイクル
最近、これって筋トレと同じなのかもしれないと思う。負荷をかける。壊れる。休む。修復する。少し強くなる。そして、それが普通になる。そうしたら、また次の刺激が必要になる。
人生も、たぶん似ている。日本に来た最初の2年間は、とにかく自分の世界を広げたかった。いろんな人に会って、いろんな場所に行って、いろんなことを経験した。今は、その中から本当に自分がやりたいものを選んで、深めたい。少し孤立してでも、自分にしかできないことに時間を使いたい。
バドミントン。
ブログ。
仕事。
家を買うためのお金。
そして、日本語。
新しいものを増やすより、今まで積み上げてきたものを、一段深くする。
たぶん今は、そういう時期なんだと思う。

結局、どこに住むのか
最近、ある話を聞いた。人生は、木に似ているらしい。
木は、実は二つの方向に成長している。
一つは、地上に向かう成長。幹が伸びて、枝が増えて、葉が広がる。花が咲いて、実がなって、季節ごとに姿が変わる。春には芽が出て、夏には大きく成長して、秋には葉が色づく。そして冬になると、葉が落ちて、また次の春を迎える。
こっちは、目に見える成長だ。新しいことを始めたり、新しい人に出会ったり、行ったことのない場所に行ったり。自分の世界を外側に広げていく。
でも、木はもう一つの方向にも成長している。地面の下に、根を伸ばしている。
根は、外からは見えない。葉のように色が変わるわけでもないし、花のように目立つわけでもない。それでも、少しずつ深く伸びて、土の中で広がって、木そのものを支えている。
つまり、木は上にも、下にも成長している。目に見えるところを大きくすることも成長だし、目に見えないところを深くすることも成長なんだと思う。
この2年間の僕は、ずっと上に伸びようとしていたのかもしれない。知らない場所に行く。新しい人に会う。新しいことを始める。自分の世界を広げる。それは、今までの自分には必要なことだった。
でも、これからは少し違う。新しい枝を増やすことだけではなく、今まで伸ばしてきた枝を支えられるように、根をもっと深くしたい。仕事も。バドミントンも。ブログも。人との関係も。日本語も。
外から見える変化は、もしかしたら今までより少なくなるかもしれない。でも、その分だけ、自分の中では深くなっていく。人生は、ずっと外側に広がり続けることだけが成長じゃない。上に伸びる時期があれば、下に根を張る時期もある。
今の僕は、たぶんその時期なんだと思う。
これからは、もっと深く。
そして、またいつか、新しい枝を伸ばせばいい。
心のメモ#3、広げたあとに深める - Marc


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