東京から伊豆半島の海岸線を追いかけた4日間の自転車旅
- Marc

- 5月19日
- 読了時間: 12分
導入:東京から伊豆半島の海岸線を追いかけた4日間の自転車旅
ここ数か月忙しかった。
仕事。責任。考えること。
気づけば、毎日がずっと前に進むだけの感覚になっていた。
だから今回は、少し離れたかった。
目的地を決めるというより、ただ海沿いを走りたかった。
今回の旅は、3泊4日。
東京を出発して、伊豆半島を海沿いに一周。
そのあと御殿場、箱根を通り、再び東京へ戻るルート。
全部自転車。
景色の変化も、坂の辛さも、風の匂いも、全部を身体で感じる旅だった。
実は、これが初めての長距離自転車旅ではない。
去年の夏にも、三浦半島や千葉方面を走ったことがある。
でもあの頃は、暑さも湿気も想像以上だった。景色を楽しむというより、耐える感覚に近かった。
だから今回、日本を自転車で旅するなら、5月は特別だ。
暑すぎない。湿気も少ない。そして海沿いには、気持ち良い風が流れている。
そのおかげで、今回は今までと全く違った。
苦しいはずなのに、楽しかった。
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Day 1|東京 → 伊東 🚴♂️🌊
今回の旅は、今までの自転車旅とは少し違っていた。
最初の旅は去年の7月。三浦半島を走った。
景色は綺麗だった。でも経験不足だった。
暑さ、日差し、体力配分。すべてを甘く見ていて、肌は焼けすぎてボロボロになった。
2回目は8月。千葉・茨城方面へ。
しかし今度は、風も雲もなかった。日本特有の湿気と暑さの中を走り続ける感覚は、正直かなり厳しかった。
だから今回、ようやく分かった。「自転車で日本を旅するなら、5月が最高かもしれない。」
梅雨前。真夏ほど湿気もない。暑いけど、空気はまだ軽い。
しかも海沿いを走れば、潮風がずっと体を冷ましてくれる。
そして今回は何より、仕事の繁忙期が終わった直後だった。
ここ数か月はかなり忙しかった。だからこそ、この旅には最初から特別な開放感があった。
東京を出発してから、建物の高さや空気が少しずつ変わっていく。
厚木市で山が見えてくる。
途中、平塚市の海岸で昼食を食べていた時に、鳥にバーガーを奪われる事件まであった。鷹なのかトンビなのか分からない。でも驚くほど綺麗に持っていかれた。あれは面白かった。

小田原までは意外と早い。都会の景色が減り、少しずつ海が近づいてくる。
そして小田原を越えたあたりから、旅の空気が完全に変わった。

海沿いの道。太平洋を横に見ながら続くルート。目の前には海。そのすぐ横には山。
伊豆特有の地形だ。

自転車はハードだった。坂も多い。トンネルも長い。しかも道路はそこまで広くない。トンネルの中を走る時は少し怖さもある。でも、それ以上に気持ち良かった。
海風。山の迫力。カーブを曲がるたびに変わる景色。
疲れるはずなのに、不思議と気持ちはどんどん軽くなっていった。

そしてようやく静岡県、熱海市へ。

熱海を越える頃には、温泉街特有の空気も感じ始める。
東京からそこまで遠くないのに、もう完全に別の場所だった。
海と山の間を、自転車でただ進み続ける。
そして夕方、伊東へ到着。

川沿いの雰囲気も綺麗だった。そして東海館へ。
昔ながらの建物。畳の感触。木の匂い。静かな空気。
気づけば、“昔の日本”の場所を歩くのはかなり久しぶりだった。

海に沈んでいく夕日を見ながら、ふと思った。
今日はかなり走ったはずなのに、まったく精神的な疲れがない。
あるのは純粋な楽しさだけだった。
夜は伊東に宿泊した。
伊東の夜は、本当に静かだった。
海沿いを歩くと、聞こえるのは波の音だけ。時々、鳥の鳴き声が混ざる。
ああいう静かな時間こそ、今回の旅で一番贅沢だった気がする。
Day 2|伊東 → 南伊豆 🌊⛰️
2日目の朝。
伊東の海沿いでコンビニの朝ごはんを食べる。これが、なぜかすごく好きだ。
目の前には海。天気も快晴。これだけで、自然と気分が良くなる。

そして少し進んだところで、突然見えた。
富士山。
正直、伊東から富士山が見えるとは知らなかった。
あの景色はかなり印象に残っている。

そこから先は、完全に“伊豆の冒険”が始まった。
1日目はまだ東京からの移行だった。でも2日目は違う。
最初から最後まで、
山。坂。海。
ずっとそれの繰り返しだった。
天気が本当に良かった。しかも前日の疲れもそこまで残っていなかったから、不思議と気持ちは軽かった。
最初の大きな目的地は、大室山。
あの丸く削られたような不思議な山。
自転車で登るのはかなりきつかった。
でも上に着いた瞬間、全部吹き飛んだ。

遠くには富士山。そして大島まで見える。
そのあとリフトで山頂へ。
頂上をぐるっと歩くと、伊豆の景色が全部広がって見える。
海。山。火山の地形。
「伊豆って本当に火山の島なんだな」と実感した。
その流れで城ヶ崎海岸へ。
昔の噴火で流れた溶岩が、そのまま海に固まったような景色。
黒い岩。濃い緑の植物。そして青い海。
あの黒と緑のコントラストは、本当に綺麗だった。

気づけば1時間近く歩いていた。
でも、そのせいで時間がかなり押し始める。
ここからは少し急ぎモード。

港町を通り、寺にも立ち寄る。
そして龍宮窟へ。写真ではかなり期待していたけど、正直、現地はそこまででもなかった。「写真の力ってすごいな」と少し思った。

そのあと下田へ。
ここは予想以上に良かった。黒船来航の歴史が残る港町。
どこか横須賀っぽさもあるのに、もっと小さくて、もっと穏やか。
湾の雰囲気も綺麗で、街全体にゆったりした空気が流れていた。
そこからさらに南へ。

石廊崎方面へ向かうにつれて、景色がどんどんダイナミックになっていく。
ただ、到着した頃にはかなりギリギリだった。
灯台の施設は16時閉館。到着したのは15時50分くらい。
「ああ、もう少し早く出ればよかった。」
旅ではこういう小さな後悔もある。

そのあと恋人岬のような鐘がある愛逢岬へ。
鐘を鳴らして、少し先の展望スポットにも立ち寄る。
そこでは地元の人たちとも話した。
本当に穏やかだった。話し方も、空気感も、全部が静か。
その空気がすごく心地良かった。
本当はヒリゾ浜にも行きたかった。
透明度が高くて有名な場所。ダイビングをしている人も多い。
でも船の時間に間に合わなかった。
それでも、海は十分綺麗だった。

そして夕方。子浦海水浴場のエアビへ向かう前に、落居海岸海辺へ。
透明な海。夕日。静かな波。
サメやウミガメの遺体も見かけながら、海に入る。
海水は驚くほど綺麗だった。
夕日を満喫しながら、一人っきりで幸せ。
2日目の終わり。
Day 3|南伊豆 → 御殿場 🚴♂️🌊⛰️
3日目。
この日は、間違いなく今回の旅で一番過酷な日だった。
本当は三島で泊まる予定だった。
でも天気予報を見ると、夜も翌朝も快晴。
「それなら御殿場まで行って、富士山を見たい。」
そう思って予定を変更した。
朝起きた瞬間、すでに体はかなり重かった。
脚は筋肉痛。疲労も溜まっている。
しかも、この日。旅最大のトラブルが起きる。
それは後で語ります。
まずは西伊豆へ向かう。
朝から坂。とにかく坂。
伊豆半島は、本当に平地が少ない。
でも不思議と嫌ではなかった。
海が綺麗すぎるから。

松崎へ到着。
ここは「日本で最も美しい村」のひとつとも言われている。
実際に走ってみると、その理由がよく分かる。

136号線を走っていると、海へ落ちていくような崖道が続く。
視界を遮るものがほとんどない。
ただ海と、山だけ。

しかも道沿いには、不思議な石像たち。
あの独特な雰囲気が面白かった。
そして堂ヶ島へ。
ここは今回の旅の中でも、特に印象に残った場所だった。
透明すぎる海。海食洞。

そしてトンボロ。
潮が引いた時だけ現れる道。
海の上を歩いているような感覚だった。
しかも、海の色が本当に綺麗だった。

伊豆の海って、場所によってここまで透明度が違うんだと驚いた。
たぶん、ここは伊豆半島の旅のTop3に入る。
そのあと恋人岬へ。
本来なら富士山が見える場所。

でもこの日も、富士山は少し恥ずかしがり屋だった。
見えそうで見えない。
旅中ずっとそんな感じだった。

そして土肥金山。
正直この頃には少し疲れていて、見学する気力がなかった。
そこから先。
事件が起きた。
自転車が壊れた。
最初はネジが緩んだだけかと思った。
でも違った。
ペダル周辺のパーツが、完全にひび割れていた。
足に力を入れるたび、自転車が傾く。
普通に危険。変速もできない。
しかも最悪なのは、場所。
周りに何もない。
電車もない。
最寄りの自転車屋まで約50km。
焦ったが、でも不思議と、「旅っぽいな」とも思った。
こういう予想外も含めて、自転車旅なんだと思う。
だから開き直った。
上り坂は押して歩く。下りだけ乗る。
それを4時間近く繰り返した。
かなりきつかった。
でも景色だけは、本当に美しかった。
戸田の港町。静かな湾。穏やかな空気。

そして大瀬崎へ。
ここで、ようやく富士山が姿を見せ始める。

そこから沼津方面へ続く海岸線。
この時間が、本当に最高だった。
左には海。その奥には富士山。
夕方の光。しかも、ほとんど平坦。
壊れた自転車で苦しんだあとだったからこそ、余計に景色が沁みた。
「ああ、ここまで来てよかった。」
そう思えた。
そしてようやく沼津・三島へ到着。

正直、自転車屋が閉まっている可能性も覚悟していた。
到着したのは17時50分頃。
かなりギリギリ。
でも運良く、19時までオープン。
そして店には壊れたパーツの在庫があった。
しかも45分で修理完了。
本当に救われた。

最悪、ここから電車で東京へ戻ることも考えていた。
でも、直った。
だから最後、御殿場まで行くことにした。
本来なら夕方には着いて、富士山の夕焼けを見る予定だった。
でも実際に着いたのは21時。
朝8時から走り続け、壊れた自転車を押し、坂を越え、精神的にもかなり疲れていた。
間違いなく、今回で一番ハードな1日だった。
それでも不思議と、後悔はなかった。
あの西伊豆の景色。
壊れた自転車のあとに見た富士山。
そして最後に御殿場まで辿り着けた達成感。
全部ひっくるめて、すごく「旅」だった。
Day 4|御殿場 → 箱根 → 東京 ⛰️🌆
4日目の朝。
起きてすぐ天気予報を見る。
快晴。
「今日は富士山、完璧だな。」
そう思いながら外へ出た。
でも目の前は曇り。
富士山、完全に見えない。
ここまで来たのに。あれだけ苦労したのに。
少しショックだった。

でも、不思議とそこまで落ち込まなかった。
富士山って、そういう存在な気がする。
「見たい」と思った時ほど見えない。
逆に、忘れた頃に突然姿を見せる。
だからもう、受け入れることにした。
そして箱根へ向かう。
最初は138号線をそのまま進むつもりだった。
一番早いルート。
でも途中で考えが変わった。
「東京に入れば、もう景色は都会になる。だったら今は最後まで自然を楽しもう。」
そう思って、箱根スカイラインへ。
そしてこれが、本当に大正解だった。
トップクラスに好きな道だった。
2時間走って、すれ違った車は5台くらい。
静かすぎる。
森の中を、自転車だけで進んでいく。
風の音。鳥の声。木の匂い。

それしかない。
しかも時々、雲の間から富士山が姿を見せる。
「やっと見えた。」
あの瞬間の嬉しさは大きかった。
特に長尾峠付近から見た景色は忘れられない。

そして736号線へ。
ここで静岡県が終わり、神奈川県へ入る。
トンネルを抜けた瞬間。
目の前に、箱根の景色が一気に広がった。
芦ノ湖。山。深い緑。
あれは本当に衝撃だった。
箱根って、多くの人は湖の近くから見る。
でも上から、遠くから見る箱根は、まったく別の景色だった。
まるで“緑の楽園”みたいだった。

空気の匂いまで違う。
今回の旅のTop3の景色を選ぶなら、間違いなくここに入る。
そのあと138号線へ戻り、一気に下る。
長い上りのあとの下りは、本当に気持ち良かった。
そして芦ノ湖へ。

その後はロープウェイで相模湾展望広場まで。
以前にも来たことがある場所。雲で何も見えなかった。
でも今回は少し違った。

展望スポットから見えたのは、伊豆半島。
数日前まで、自分が自転車で走っていた場所。
海沿いをずっと走ってきた道を、今度は遠くから眺めている。
あれはかなり感慨深かった。
そしてもうひとつ。
前回ここへ来たのは、1年半前。
その頃の自分と、今の自分。
あの時は、まだ子供だった気がする。
この1年半で本当に色々変わった。
景色を見ながら、自分自身の変化についても考えた。
そして、そろそろ旅の終わり。
箱根を自転車で走るのは本当に楽しかった。
遠回りしてよかった。時間をかけてよかった。
心からそう思えた。
そのあと732号線を45分ほど下り続け、小田原へ。

そこでご飯を食べる。
でもこの辺りから、少しずつ気持ちが変わり始める。
「ああ、もう旅が終わるんだな。」
景色も変わる。
自然が減り、建物が増えていく。
東京圏へ戻ってきた感覚。

そしてここからが、地味に一番長かった。
身体も限界に近い。
擦れ。痛み。疲労。
正直、「早く終わってくれ」と思う瞬間もあった。
でもゴールが近づくほど、不思議と力が出る。
藤沢。大船。横浜。
途中、江の島へ寄ろうか迷った。
でももう止まる気力はなかった。
とにかく進む。
そして横浜へ到着。
本当は山下公園で休む予定だった。
でもイベントかマラソンで閉鎖中。
だから大さん橋へ向かった。
ちょうど夕暮れ。
赤レンガ倉庫。横浜の夜景。海風。
タイミングが完璧だった。
最後にあの景色を見られて、本当に良かった。

そして、ここから先はもう“ホーム”。
15号線をそのまま北へ。
慣れた景色。
でもそろそろ限界だ。
GPSでは2時間半。
でも気合いで飛ばした。
気づけば45分も短縮していた。
最後の最後は、疲労というより興奮だった。
家に帰ったあとも、全然眠くならなかった。
むしろアドレナリンで頭が冴えていた。
結局最後に東京駅まで行った。
どうせ終わるなら、象徴的な場所で終わりたかった。
東京駅の前に立ちながら、思った。
本当に、良い旅だった。

結論:
4日間で、伊豆半島を一周した。
海沿いを走り、山を越え、富士山を探し、壊れた自転車を押しながら進み、最後は東京へ戻ってきた。
正直、疲れた。でも、それ以上に楽しかった。
特に印象に残っているのは、やっぱり伊豆半島の景色だった。
海と山があそこまで近い場所。火山の地形。透明な海。静かな港町。
同じ日本なのに、東京とはまるで別世界だった。
そして今回の旅で一番面白かったのは、「思い通りにならなかったこと」かもしれない。
富士山は、見たい時ほど見えない。
予定通りにも進まない。
自転車も壊れる。
でも、だからこそ旅は面白い。
むしろ予想外の出来事の方が、後から強く記憶に残っている。
そしてもうひとつ感じたのは、自転車旅は“移動”ではないということ。
風。匂い。気温。坂の辛さ。海の音。
全部を身体で感じながら進むからこそ、景色が記憶に残る。
もし車や電車だったら、ここまで強くは覚えていなかったと思う。
東京駅に戻った時、ようやく旅が終わった実感があった。
でも同時に、少し寂しかった。

いつか海沿いを走りたくなる気がする。
東京から伊豆半島の海岸線を追いかけた4日間の自転車旅 - Marc



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